市場創造とはなんでしょうか。コモディティ化や情報化が進む成熟市場で顧客に選ばれ続けるためには、他社が追随できない価値の提供が重要です。しかし、どんなに優れた価値も永遠に維持できるとは限りません。初めて市場に提供されたときに素晴らしいとされた価値が、時間の経過や環境の変化などにより陳腐化することは珍しくありません。このような環境下で重要になるのが市場創造という概念です。今回は企業の持続的な発展に欠かせない市場創造について理解を深めたいと思います。
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市場創造とは
市場創造とは、生活者の潜在的なニーズを生み出して新しい価値を創造することです。そして、その価値を生活者に提供して新たな需要を生み出しこれまでにない市場を創り出すことで、ブルー・オーシャン戦略とも呼ばれています。企業の発展は顧客から選ばれ続けることなしに実現できません。そのためには他社と差別化できる価値を創造して提供する必要がありますが、既存市場だけを考えていては魅力的な価値を生み出すことは難しいでしょう。もし市場創造に成功した場合、既存需要の奪い合いから抜け出し、競争がない未開拓の市場で売り上げを大きく伸ばせる可能性があります。
新しい市場を創造して顧客の生活を変化させた商品を新市場創造型商品(MIP: Market Initiating Product)と呼ぶことがあります。MIPの半数が10年以上シェア首位を維持できる一方、後発商品では0.5%程度しかシェア首位になれないとする調査もあります。新市場の創造が企業の発展にとっていかに重要なテーマか理解できるのではないでしょうか。
マーケティングにおける市場創造とは
市場創造と聞くとAppleのiPodやiPhoneなどをイメージするかもしれませんが、市場創造は必ずしも新製品の開発を必要とするわけではありません。顧客の常識を変化させたり、新しい習慣を形成したりすることでも実現可能です。マーケティングにおける市場創造では特にこの考え方が重要で、ブランディング活動の一環として捉えることもできます。
たとえばスターバックスは家とも会社とも異なる落ち着ける場所=「第三の場所」を提供することで独自のポジションを確立しました。お店の空間で過ごす体験自体を価値として提供したことで、既存の喫茶店市場とは異なる新たな市場を創造し、これまでお店でコーヒーを飲まなかった人にもスターバックスでなら飲みたいと思わせるほどの強力な価値の提供が実現できたのです。
顧客が商品やサービスを選択するのは、それによって得られる価値に魅力を感じるからです。既存顧客や既存ビジネスの常識にとらわれずに顧客の潜在的な欲求を見つけ、それを満たす利用シーンや活用方法を開拓して提示することで市場創造を目指していきましょう。