PSM分析とはなんでしょうか。マーケティングにおいて価格の設定は非常に重要な要素です。価格戦略はマーケティングミックスを構成している戦略のひとつですが、実際にどのように価格を設定するのか、その手法のひとつである価格設定 PSM分析をみていきましょう。
PSM分析とは
PSM分析とはオランダの経済学者である、Van Westendorp(ファン ウェステンドルプ)によって考案された価格設定のフレームワークです。PSMとは「Price Sensitivity Meter(価格感度メーター)」の頭文字です。PSM分析を行うことで、顧客が特定の商品・サービスについてどの程度の価格が妥当と考えているかを導き出すことができます。これにより、顧客の感覚から商品・サービスに対する需要可能な価格対応を探ることができます。高すぎて売れないというのはもちろんですが、反対に安すぎて売れないということもあります。
PSM分析は、現行商品の価格に対する顧客の価格に対する温度感を知る場合や、まだ市場にない商品の妥当な価格を想定するときなどに利用可能です。顧客に対して4つの質問を行うことで得られた累積曲線の交点から「最低価格」「最高価格」「妥当価格」「理想価格」を求め、市場で提供される価格帯(Range of Acceptable Price)を導き出します。
4つの質問は以下のようなもので、この質問によって得られた回答を曲線化することで分析を行います。
- 商品がいくらになると、高くて買えないと感じはじめるか
- 商品がいくらになると「高い」と感じはじめるか
- 商品がいくらになると「安い」から買おうと感じはじめるか
- 商品がいくらになると、安すぎて不安に感じはじめるか
累積曲線のグラフ作成により、交点から以下の価格を知ることができます。
最高価格:これ以上高いと価格が許容されず買わない価格
妥協価格:買ってもいいかなという顧客が妥協しつつ買う価格
理想価格:顧客が抵抗を感じず購入できる最適な価格
最低品質保証価格:これ以上安いと顧客が不安になり買わない価格
最高価格以上は高すぎる価格帯。最低品質保証価格以下になると安すぎる価格帯です。最低品質保証価格と最高価格の間が顧客が受容可能な価格帯、すなわち受容価格帯となります。この中で、妥協価格、理想価格との関係により割安価格帯、適正価格帯、割高価格帯が算出できます。
価格はブランディングなどの企業が採用する戦略によって変わっていきますが、どのくらいの価格にすると顧客が不安を感じたり、気持ちよくお金を払ってくれるかどうかを測定することができます。PSM分析によって顧客の価格に関する感度を知ることは、特に新規参入時の価格設定には参考となるでしょう。
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