“5A Loyalty診断”サービスの紹介 第5回 まとめ(5回シリーズ)

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「近代マーケティングの父」フィリップ・コトラーが提唱したオリジナル指標でロイヤルティマーケティングに取り組むことができる、トランスコスモス(以下当社)の“5ALoyalty診断”サービスについての紹介記事です。

なぜいまロイヤルティマーケティングが必要か、サービスの目的やメリットを全5回にわたってご紹介してまいりました。最終回の今回は、“5A Loyalty診断“の戦略構築の進め方をまとめて解説します。

本記事シリーズでは、“5ALoyalty診断”サービスの内容について「5A」「パーセプション」「CX」の3つの診断をご紹介しました。“5ALoyalty診断”は、ロイヤルティマーケティングを実施するにあたり最初の戦略構築をするために行う診断です。“5ALoyalty診断”を行うことによって、必要最低限のマーケティングの指針が得られます。ところで構築すべき戦略とはなんでしょうか。

5A診断で導き出すロイヤルティ

マーケティング戦略は、STP・4Pのフレームに則った考え方が一般的です。STPとは、市場のセグメントを知り、その中でのターゲットを定め、そのうえで自社のブランドをどう位置付けるかという手法です。STPを活用することによって、自社やブランドが誰を狙いどのようなポジションをとればいいのかという指針が定まり、マーケティングの戦略目標が明確になります。この戦略目標は、どのような市場においても“5ALoyalty診断”を行うことによって、ロイヤルティマーケティングに即してはっきりと示すことができます。思い出していただきたいのですが、診断ではまず初めに自社のロイヤルティの強弱を調べます。これが「5A」そのものの測定です。性別、年齢別、地域別、そして自社競合のなかでロイヤルティがどう強くどう弱いのか。どこを強化してどこを弱体化させなくてはいけないか、という議論ができるのです。これはSTPのセグメンテーションを行うと同時に、その中で狙うべきターゲットを明らかにしています。自社が位置している市場でロイヤルティを強化したいとき、ターゲットとすべきセグメントは誰なのかということを可視化できるということです。たとえば現在の時代背景を考えると「ターゲットはZ世代の女性だ」となることもしばしばあるでしょう。“5ALoyalty診断”の最初の測定でそのような答えを出すことが可能です。

パーセプション診断で導き出す顧客へのメッセージ

それでは、たとえば「Z世代の女性を狙う」としたときに、どのようなメッセージを伝えればいいのでしょうか。このことが決定しなければ、戦略的に獲得すべき目標が定まりません。これに答えを出してくれるものが、パーセプション診断です。パーセプション診断を行うことによって、現在ロイヤルティが弱い人を改善していくにはどうしたらよいか、もしくは競合と比較してロイヤルティを差別化していくにはどうすればよいか、といった問いに対する回答が明確になっていきます。そしてこの診断結果は定量的であるということが大変重要です。定性的な仮説を豊富に得るには、一般的には定性調査などを通じて行われます。これはヒントを得るためにある程度意味がありますが、実際に会社の資源や予算を使った行動に移す際は、定性調査の評価は非常に難しくなります。翻って“5ALoyalty診断”はすべて定量的な結果となるので、戦略実行にあたり悩むことが少なくなります。パーセプション診断の結果をもって、自社のターゲットに対してどのようなメッセージを伝えればよいのかということが明らかになります。

CX診断で導き出す効果的なメディア

ここまでで、マーケティング戦略のSTPというのはほぼ概要が出来上がったといってよいでしょう。しかしながら、今度は4Pです。商品・価格・販促・流通ということになりますが、商品・価格・流通に関してはこの診断では関わり合いが薄く、重要な項目は「販促」の部分です。具体的には自社のターゲットに対してメッセージを伝える場合、どんなメディアを使って伝えるべきかという問題です。現代においても一人当たりの認知をとるために我が国においてはテレビほど安いメディアは無いかもしれません。しかしフィリップ・コトラーがいうように、テレビというメディアは5Aカスタマージャーニーの初期において生活者との軽い関係性をつくるには有利ですが、行動に駆り立てたり、ファンにしていくといった深いコミュニケーションは苦手です。CX診断では生活者とのタッチポイントを定量的に検証し、デジタルメディア、口コミ、マスメディアをどのように組み合わせて利用したらいいかが測定できます。我々の調査では、企業が行っていたキャンペーンやメディアについて、一番お金をかけていたメディアが購入やロイヤルティにまったく無関係だったと判明した事例があった一方で、コストをかけていないにもかかわらず現場で行っていたプロモーションが大変な効果を示したという例もありました。
何のメディアがどのような効果をもつかということを理解せずにマーケティング計画を実行に移すことは、暗闇の中で刀を振り回すのと同じことです。


“5ALoyalty診断”は3つのモジュールからなっていますが、この3つの診断がセグメントを知り、ターゲットを決め、伝えるメッセージを明らかにし、そして伝えるためのメディアを効率性の観点から測定していく、すべてが定量的な手法です。“5ALoyalty診断”がすべてのマーケティングの答えを出すというわけではありませんが、これからのロイヤルティマーケティングに向かう際に、“5ALoyalty診断”を行うことで最低限の必要十分な情報をかならず得ることができます。

(解説・トランスコスモス株式会社 福島常浩)

”5A Loyalty診断”サービスの紹介 第1回 ロイヤルティマーケティングの戦略構築をはじめるために
“5A Loyalty診断”サービスの紹介 第2回 5A診断とは
“5A Loyalty診断”サービスの紹介 第3回 パーセプション診断とは
“5A Loyalty診断”サービスの紹介 第4回 CX診断とは
“5A Loyalty診断”サービスの紹介 第5回 まとめ(本記事)


福島常浩が御社のマーケティングをディレクションいたします

トランスコスモスでは、フィリップ・コトラーの提唱する5Aコンセプトに沿ってマーケティング戦略提案をいたします。実際のご提案に際しては、当記事の解説者である福島常浩がデジタル時代に最適化したロイヤルティマーケティングをサポート。まずは御社のお悩みをお聞かせください。

トランスコスモス株式会社 上席常務執行役員
公益社団法人日本マーケティング協会 理事
福島常浩
東京工業大学大学院修了後、味の素株式会社に入社。その後、GE Capital、三菱商事、ぐるなび、メディカルデータビジョンを経て、ビッグデータ事業、マーケティング責任者等を歴任。専門分野は、新事業・新製品開発、ブランド論、医療ビジネス、ロイヤルティマーケティング。トランスコスモスではマーケティング関連の事業開発を担当し、書籍 『コトラーのマーケティング4.0』 で紹介された5A診断を日本で独占的に提供している。

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