ソーシャルメディアが普及した接続性の時代のカスタマージャーニーは、『マーケティング4.0』において5A(ファイブエー)=認知(AWARE)、訴求(APPEAL)、調査(ASK)、行動(ACT)、推奨(ADVOCATE)というプロセスで説明し直されるべきだと、著者のフィリップ・コトラーは述べていました。この記事では5Aの具体的な内容を見ていきましょう。
5Aの構成要素(認知 訴求 調査 行動 推奨)を理解しよう
「認知(AWARE)」とは、顧客がブランドを「知っている」という状態を指します。顧客が「認知」に至るプロセスとしては、たまたま当該ブランドの広告(オンラインオフライン問わず)に触れる、他者からブランドの口コミを聞かされる、過去の経験を思い出す、などがあります。
そして「認知」した顧客は、それまでに他者から聞かされたり、与えられた情報を一旦頭の中で整理し、認知したブランドの中から自分にとって好ましいと思う、特定のブランドだけに惹きつけられます。この状態が「訴求(APPEAL)」です。
次に顧客は、その少数のブランドの中から、魅力を感じたブランドについて「調査(ASK)」するようになります。友人に電話をしてアドバイスを求めることもあれば、オンライン上で製品レビューをチェックする場合もあるでしょう。あるいは価格を比較したり、コールセンターに電話するかもしれませんし、販売員と話すことで、もっと情報を得ようとするかもしれません。
「調査」段階で詳しい情報を手に入れたら、顧客は「行動(ACT)」へと進みます。ここでいう顧客「行動」とは、必ずしも店舗やオンラインで購入するという「購買行動」だけではありません。
顧客は、消費や使用はもちろん、アフターサービスを通じてもブランドとさらに深く交流することになります。そのすべての「行動」のプロセスで顧客に満足してもらえるよう、企業は関心を注ぎ、顧客にブランドの価値を届けなければなりません。
やがて、企業の努力が成功すれば顧客にブランドに対する強いロイヤルティが芽生えていきます。それは顧客維持率、再購入率 、そして最終的には他者への推奨率として表れてきます。これが「推奨(ADVOCATE)」段階です。熱心な推奨者は、自分の大好きなブランドを自発的に他者に推奨し、伝道者になるのです。
5Aの段階は必ずしも直線的に進むとは限らない
これまで5Aに沿ったカスタマージャーニーを順番に紹介しましたが、顧客は必ずしも「認知→訴求→調査→行動→推奨」の順番通りに進むとは限りません。最初はブランドに惹かれていなくても、友人からの推奨に突き動かされて調査をすることなく買ってしまう、ということもあります。また実際に購入していなくても、調査を重ねて忠実な推奨者として活動することもあります。このように、いくつかの段階を飛ばしたり、途中から入ってきたりする顧客もいるのが5Aのカスタマージャーニーです。たとえば、テスラモーターズの自動車は、購入者ではない人々によって強く推奨されています。
5Aで示された新しいカスタマージャーニーは、現代のソーシャルメディアの普及が広がった時代に最適な顧客行動です。自社のブランドや商品について顧客の5Aカスタマージャーニーを調査することで、適切な広告なSNS運用が出来ているか確かめる最初の一歩になるでしょう。