コトラー『マーケティング5.0』まとめ 第3回 新たな顧客体験を向上させるために 共著者が解説

インタビュー

2020年12月、トランスコスモスで開催し大変ご好評いただいたセミナー内容を4回に分けてまとめてい『コトラーのマーケティング5.0』(日本語版)が2022年4月に発売されました。
トランスコスモスでは、本書の共著者であるイワン・セティアワン氏のWebセミナーを2020年12月に開催し大変ご好評いただきました。『マーケティング5.0』の内容について、共著者本人に語っていただいた内容を記事にまとめています。

本記事では第3回「新たな顧客体験を向上させるためのテクノロジー」を紹介いたします。

マーケティングを加速させる次世代テクノロジー

次世代テクノロジーとは人に端を発するテクノロジーです。テクノロジーが人間の能力を模倣しようとするのです。機械が人間を模倣するテクノロジーにはAI、ナチュラルランゲージプロセッシング、センサー、ロボティクスがあります。
それぞれの関連性をみていきましょう。

人間には考える能力がありますが、機械にはAI(Artificial Intelligence)が備わっており人間の脳と同じモデルを用いて、人の脳が考える仕組みを再現します。

人は言語を使いコミュニケーションをとりますが、機械にはナチュラルランゲージプロセシングと呼ばれるテクノロジーにより非常に微妙なニュアンスである人間のコミュニケーションや言葉をコンピューターが理解するのを手助けします。主にチャットボットや音声認知、AppleのSiriやGoogleアシスタント、Amazon Alexaといった音声テクノロジーに代表される音声アシスタントに使われます。

人には五感がありますが、機械にはセンサーがあります。センサー技術は人間の見て感じる能力を再現します。たとえば誰と会話をしているのかを知るには顔認証技術が使われ、音声認識技術では聞くことを再現します。また人間は手や体を動かしますが、機械はロボティクスにより動きを表現します。これにより人に代わり機械が仕事をします。さらに人は想像することができます。夢を見ることは人間だからこそのものです。機械には混合現実と呼ばれるものがあり拡張現実(AR)と仮想現実(VR)の混合です。

人は友人や家族など他者と結びつきを好みますが、機械でも他の機械との結びつきを好みます。これはIoTとも捉えられます。また金融取引、帳簿、売上伝票を記録する際には、ブロックチェーンテクノロジーもあります。これは機械と機械を結び付け、この機械を使う人同士を結びつけるのです。

IoTとは

ブロックチェーンとは

新たな顧客体験を向上させるために

新たな顧客体験を増幅させるために、これらのテクノロジーをどのように利用したらいいのでしょうか。マーケティング4.0で得た知見を増幅するため、5Aの各フェーズに対しさまざまなテクノロジーを使っていきます。

現在でも多くの手法がありますが、今後も対応できる手法が増えていくでしょう。そしてよりよい顧客体験のために次世代のテクノロジーを使う機会が今後もますます増えていくはずです。各施策において次世代テクノロジーを効果的に採用していくことで、より顧客体験を増幅させることが可能となるのです。

最終回の第4回では「マーケティング5.0を構成する5つの要素」についてご紹介いたします。引き続きご覧ください。

イワン・セティアワン氏
Markplus CEO

ノースウェスタン大学の経営大学院であるケロッグ経営学院にてMBAを取得。卒業後15年間、100社以上にマーケティング戦略策定を経験。インドネシアのMarkplus社 CEOとして、フィリップ・コトラーおよびMarkplus社 会長であるヘルマワン・カルタジャヤ氏と共に、『コトラーのマーケティング3.0』 と『コトラーのマーケティング 4.0』を共著し、その著書は現在27ヵ国23の言語に翻訳されている。2021年2月に最新書かつ最終書『マーケティング5.0』が発売。日本語版は2022年4月に発売された。

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