企業のマーケティングにおいて、カスタマージャーニーが直線的な漏斗型だった時代には、ブランド認知こそが最も重要だといえました。しかし現在の接続性の時代においては、ブランド認知が最も重要であると捉えるのは早急だと言えます。
ブランド認知は、購買サイクルが短い産業(消費者向けパッケージ製品産業。たとえば、P&G、ユニリーバ、花王、ライオンなどが提供する商品)においては重要ですが、購買サイクルが長く、顧客エンゲージメントが高い産業(自動車、家電産業など)においては、単なるきっかけに過ぎません。
つまり、最終的にブランドを推奨する(ロイヤルティ)顧客の数を増やすこと、つまり他のブランドより高いブランド推奨率を実現することが、企業にとって最も重要なことだといえます。
新しい生産性の測定指標 PAR(購買行動率)とBAR(ブランド推奨率)とは
マーケターが自分のマーケティング活動の生産性を正しく測定するために、コトラーは新しい二つの測定指標を導入するべきだと提案しています。『マーケティング4.0』で5Aカスタマージャーニーとともに新たに提起された測定指標は、購買行動率(PAR)とブランド推奨率(BAR)です。
PARは、企業が自社を認知している人々を、どれだけ購買行動に「コンバート」できているか、を測定するものです。
BARは、企業が自社を認知している人々を、どれだけ忠実な推奨者に「コンバート」できているか、を測定するものです。
購買行動率、推奨率を適切に測定して課題を抽出
つまり5Aに沿って考えると、認知(A1)から行動(A4)へ、そして最終的に推奨(A5)への「コンバージョン率(転換率)」が測定できれば、企業はどのタッチポイントを改善し、いかに適切な介入を行って、忠実な推奨者を増やせばいいのか、という課題に答えられるということです。
マーケティング4.0 4Aから5Aでカスタマージャーニーはどう変わったのか?
マーケターは、まず「市場シェア」を「ブランド認知率」で割ることによってPARを算出できます。どのくらい認知率を上げれば、どのくらい市場シェアが伸びる可能性があるか、おおよそ推測する事ができるのです。 そしてそこから更に、認知から推奨までの、すべての段階でコンバージョン率を測定することで、ブランドの持つ隠れた課題をも見つけ出すことができるでしょう。
PAR、BARはトランスコスモスの提供する”5A Loyalty診断”で測定可能です。ロイヤルティ強化のために、具体的かつ効率的な戦略立案をサポートいたします。