2022年10月にインドネシアのウブドにてWorld Marketing Forum2が開催されました。世界中の著名なマーケターが一堂に会したフォーラムのなかで『マーケティング5.0』共著者のイワン・セティアワン氏も講演されました。マーケティング5.0の先の世界について示唆されており、本記事では講演内容の一部をご紹介します。
マーケティングの進化と変遷について
イワン・セティアワン氏は『マーケティング4.0/5.0』の共著者であり、今後出版予定の『マーケティング6.0』についても執筆を進めているということでした。世界のマーケターの教科書ともいえる最新作の一部について、今回の講演でお話されました。 話題の中心となったのは「メタバース」についてです。メタバースはオムニチャネル・マーケティングの次のステージとして位置づけられ、各マーケティングの進化・変遷についての解説がありました。
マルチチャネル・マーケティング(オンライン or オフライン)
両選択肢はあるが、オンラインとオフラインは分断され、独立している。
オムニチャネル・マーケティング(オンライン and オフライン)
オフラインとオンラインの統合、オンラインチャネルでのカスタマージャーニーの各ステップが統合され、シームレスな顧客体験が得られる。
メタ・マーケティング(オンライン in オフライン)
没入型。オフラインでの顧客体験を、デジタルの世界ではバーチャルに行うことができる。
メタバースの構成要素
さらにセティアワン氏は、メタバースの定義・不可欠な基本要素を紹介しています。
第1層:基礎となる技術 “The Enablers”
・IoT
・AI(データ処理)
・3D(アセットやバーチャルアバターを作る)
・ブロックチェーン(ストレージとして)
・AR/VR(インターフェースとして)
第2層:上記の技術に乗る “The Economy”
・コンテンツプラットフォーム(MetaやMicrosoftなどの大企業はコンテンツ・プラットフォームを構築しており、互換性を求める)
・コマースサイト(NFTトークン等を使って、より多くの契約を生む)
・ペイメント(仮想通貨活用)
・ガヴァナンス(ルールやガイドラインを設定し、交流を促す)
第3層:さらに商業活動を発展させる”The Experience”
・アバター、バーチャルアイデンティティ
・デジタル資産(車や土地など、物理的な資産のイメージを反映させたもの)
・インタラクション(交流)のフレームワーク
上記は、より良いメタバースのエコシステムのためのすべての要素です。
メタバースはまだ新しく、非常に初期の開発段階であり、来年以降もより多くの統合が行われると考えられています。
メタバースでブランドはどのように立ち回るべきか
最後に、メタバース内でブランドはどのような役割を果たすべきか説明しています。下記は消費者がメタバースに参加するときの、3つの要素です。
①逃避として
現実世界からの逃避、より良い世界(資産、セルフイメージ)を持ちたいときに参加する。いつもと違う自分を装う。現実世界から仮想世界への逃避。
②お金を稼ぐための手段として
ブロックチェーンを利用しているため、暗号通貨で簡単に報酬を得ることができる。シンプルなシステムであることから、多くの人が遊びや勉強、他趣味などでお金を稼ぐためのビジネスモデルを構築できる。
③利便性があるとき
現在私たちがネットで簡単に商品を購入するように、メタバースも便利でシンプルであれば人が集まる。
このような3層の顧客動機にもとづいて、ブランドの役割も大きく変化していくでしょう。現実世界からの逃避をしたい人には、デジタルアバターやコレクションを用意したり、お金を稼ぎたい人には、ゲーミフィケーションを提供したりするかもしれません。またメタバースでのショッピング体験は話題になるため、コマース的な側面も強化することも必要です。簡単に買い物ができたりサービスを受けられたりすることはもちろん、バーチャルな環境においても物理的にインタラクティブな体験を実現しなければなりません。
まとめ
詳細は『マーケティング6.0』で説明されるということで、我々としても出版が楽しみです。今回は先取り記事としてレポートいたしましたが、また新たな情報が入り次第、追記していきます。