コモディティ化とは

マーケティング用語

コモディティ、コモディティ化とはなんでしょうか。これからのマーケティングの重要なテーマは、顧客理解を通してアプローチをパーソナライズしたうえで、自社独自の価値や体験を顧客に届けることです。マーケティングが変わる背景にはさまざまな世の中の変化がありますが、コモディティ化もそのひとつです。

コモディティ化とは

市場参入時に大きな付加価値を持っていた商品の市場価値が低下し、一般的な商品となることをコモディティ化といいます。コモディティは「日用品」や「必需品」などを意味する英単語”commodity”の日本語訳ですが、経済学では「代替可能性のある経済的価値」の意味で使われます。コモディティ化した商品はメーカーごとの個性や特徴が失われており、顧客にとってはどこの商品を買っても同じ(=市場価値がほぼ同等)状態になります。

たとえばテレビや洗濯機、冷蔵庫などは、市場に登場した当時、庶民には手が届かない先進的な商品でした。しかし多くの類似商品が登場して機能性や価格面で競争を繰り返した結果、現在では一般に普及し、どこのメーカーを選んでも基本的な機能や性能ではほとんど差異のない状態となっています。コモディティ化した商品は顧客の日常生活に不可欠になっている商品と言い換えることができるかもしれません。

コモディティ化の影響とは

顧客に選ばれるためには差別化の実現が不可欠です。成長段階の市場においては技術や機能、品質などで差別化を実現することができますが、成熟市場ではコモディティ化が進むと価格で差別化を図らなければなることが珍しくありません。利幅を犠牲にして安さを追求した結果、十分な製品開発費などを捻出できなくなると、価格競争からの脱出がますます困難になります。

コモディティ化からの脱却

そこで必要になるのが体験や希少性、ブランド力など、商品の性能や機能以外の付加価値です。商品やマーケティングにストーリー性を持たせ、顧客に感動や楽しさ、面白さを体験させるのはよいアイディアです。顧客は印象的な体験をするとSNSなどで拡散するため波及効果も狙えます。あえて販売チャネルを絞って購入しづらくすることで、話題性や希少性を高めることもできるでしょう。高額な商品であればアフターサービスをきめ細かく行うことで顧客に安心して購入できるという付加価値を提供することもできます。
たとえば、家電業界でコモディティ化から脱却した例として日本の電機メーカーバルミューダの扇風機があります。2010年に発売した初代GreenFanは、3万5000円前後という当時としては驚くような高価格で売り出されました。一般的な扇風機の価格の10倍もの価格がつけられた扇風機でしたが、そのデザイン性と「自然界の風を再現する扇風機」というテクノロジーをもって生産が追い付かないほど売れたのです。バルミューダは現在でも高級扇風機の市場をけん引する立ち位置で、差別化に成功しています。

付加価値を検討する際のポイントは他社が追随できないことです。安易なノベルティ等で付加価値をつけようとする企業がありますが、それは本質的な付加価値ではありません。他社が模倣しにくいものであるかどうかを重視し、持続的かつ独自性のある付加価値の提供を目指しましょう。

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