可処分時間という言葉を聞いたことがあるでしょうか。可処分所得という言葉はみなさんご存知だと思いますが、その言葉を時間に見たてることを可処分時間といいます。現在、マーケティングにおいて顧客の可処分時間について語られることが多くなっています。今回記事では、この可処分時間についてみていきます。
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可処分時間とは
可処分時間とは、顧客の自由に使える時間のことをいいます。経済学では所得から税金や社会保障費用など消費支出ではないものを差し引いた手取り収入、自由に使えるお金のことを可処分所得といいますが、この概念が時間に置き換えられたものが可処分時間といいます。
1日は時間は24時間であり、この時間は皆平等です。睡眠、食事といった必ず必要なものの他に、仕事や家事などが差し引かれた時間が、自由に使える時間といえるでしょう。今、この時間をどのように使ってもらえるかが重要となってきています。
可処分時間が重視される背景
少し前の時代、インターネットが普及する前には、テレビや読書、音楽鑑賞などが主な時間の使い方であり、人々は多くの時間を使ってきました。しかし、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、時間の使い方は大きく変わりました。ソーシャルネットワークサービスの利用やスマホゲームのプレイなどにより、時間の消費先が変化してきているのです。
現在、生活様式の多様化により個々人の好みや嗜好も多様化し、消費されるコンテンツもテレビチャンネル一つでくくれる時代ではなくなりました。一人一画面を持つようなスマホ時代となり、さらにテクノロジーの発展により利用者個人ごとにコンテンツがレコメンドされ、それぞれに表示されるコンテンツが異なる状態になっています。一家の団らんの中にあったテレビが、パーソナルなスマホに変わりつつあり、個人の興味関心や行動に即したコンテンツが出しやすくなっています。そして、テレビと同じく、サイトやサービスにいかに多く、長く顧客を釘付けにできるかがサービス運営上、重要になってきているのです。
YouTube広告においては、視聴者をいかに長くサイトに引き止めていられるかが収益を得る上で非常に重要な要素となっています。また最新のGoogle Analyticsにおいても、ユーザーのライフサイクル指標がフィーチャーされており、いかに長くサイトに滞在しているかをエンゲージメントとして採用していますし、再来訪度合いを示すものとして維持率という項目が追加となっています。
このように現在では顧客エンゲージメントを高め、顧客の時間を有意義に使ってもらうことが非常に重要と考えられており、ニュースやゲーム、ショッピング、SNSなどあらゆるサービスが顧客の可処分時間を奪い合うことに懸命になっています。プッシュ通知やメールによる利用促進もそういったエンゲージメント向上の施策といえるでしょう。限られた時間をどのように使ってもらうか、顧客へ提供するサービス内容、サービス体験が今まで以上に重視されます。