KOL、KOCという言葉を聞いたことはありますか?越境EC関連の業務に携わっている方以外で、聞いたことがあるという方は少ないのではないでしょうか。
今回は、この二つの単語について解説していきます。
KOLとは
中国SNSでは、影響を持っているユーザー、いわゆるインフルエンサーを「KOL」と呼称します。この単語は「Key Opinion Leader」の略で、特定の分野に精通したSNSユーザーであり、中国SNSで代表的な「微信(WeChat)」、「微博(Weibo)」、「抖音(Douyin)」、「小紅書(RED)」など複数のSNSを横断して活動していることが一般的です。
消費者の動向への影響が大きいとされており、中国SNSでのマーケティング戦略においては、必須ともいえる存在です。KOLとして代表的な人物といえば、まず「李佳琦(Austin)」の名前が挙がることでしょう。通称「口紅王子」と言われるトップライバーであり、ECプラットフォームである淘宝(タオバオ)で1回ライブを行えば、約2,000万元(3億8,000万円)を売り上げるともいわれています。中国SNSプラットフォーム「小紅書」ではKOLの定義を、フォロワー50万人以上としていることからも、その影響力の強さが窺えることかと思います。
KOCとは
KOCとは「Key Opinion Consumer」の略で、KOLとは異なり、特定の分野に特化したSNSユーザーではなく、消費者として商品のレビューを行うユーザーを指しています。
中国SNSプラットフォーム「小紅書」では、フォロワー数が5千以上5万未満のユーザーをジュニアKOC、フォロワー数5万以上50万未満のユーザーを中堅KOCと定義しています。
KOCはKOLと比較し、消費者に近いポジションにあるため、本物の消費者目線でのレビューを求めるユーザーはKOCの投稿を参考に商品比較や購入行動の検討を行うことが増えてきているようです。
KOL、KOCに対する消費者の行動
前章で述べたように、消費者へ与える影響はKOLからKOCへシフトし始めています。
中国におけるSNSマーケティングでは、芸能人からKOLへ、KOLからKOCへと、より消費者に近い存在がマーケティング戦略における存在感を増してきているのが現状です。企業側もその現状を認識しており、Newrank.cnの「小紅書」に対する調査では2021年5月頃からKOCのブランド案件件数が急増していることがわかっています。
KOL、KOCを利用したマーケティング
中国SNSではKOL、KOCを利用したマーケティングには、SNSプラットフォーム「小紅書」が適しているといわれています。
「小紅書」は、中国版Instagramとも言われるSNSアプリで、中国の若い女性を中心に人気を集めています。化粧品の口コミアプリとしてローンチし、商品の口コミを投稿、収集できるだけでなく、商品が気に入った場合はそのまま購入できるEC機能も搭載しています。利用者の約8割が女性ということもあり、コスメ、ファッション分野の商品では、このプラットフォームを利用したKOL、KOCマーケティングが活発に行われています。
一方で「小紅書」は2021年に発表した資料内で、男性ユーザーの増加施策の計画を明言しており、現状でシェアを占めている女性向け商品以外の商品にも注力していくことが予想されます。