最近耳にするようになったマーケティングに関わる言葉のひとつに、ワンショット消費というものがあります。これはどのような消費行動なのでしょうか。SNS映え、インスタ映え、今日のマーケティングでは非常に重要なキーワードが生まれ続けていますが、ここではSNS時代の新たな消費トレンドとなるワンショット消費についてみていきます。
ワンショット消費とは?
ワンショット消費とは「買う→撮る→売る」からなる一連の消費行動のことです。SNS映えを目的とするフォトジェニック消費の一種で、ファッションアイテムなどを購入して着用した写真を撮り、InstagramなどのSNSに投稿。そのあとすぐにメルカリなどのフリマアプリなどで売る一連の消費行動をいいます。
SNSで「いいね!」などの反響を得られると購入の目的は果たされるため、実生活で使用せずにすぐに中古市場で売却するのです。売ることを前提に購入するケースも多く、「売るために買う」新たな消費スタイルといえます。
なぜワンショット消費が増えているの?
日本人の消費が成熟段階に至ったことが大きく影響しています。モノが溢れた結果、若者を中心に所有を目的とする購入意欲が低下しているのです。こうした消費心理の変化に加え、接続性の時代ではSNS上で承認欲求を満たそうとする人が急増しています。フリマアプリの誕生はこうした時代に歓迎され、ワンショット消費という新たな消費行動の拡大を後押ししたと考えることができます。
ワンショット消費をする顧客の心理とは?
自分にとって必要かどうかではなく、SNSで目立てるか、うらやましがられるか、売れるか、という視点で商品を選びます。買値と売値の差額が実質的な購入価格になるため、実際の生活力以上の商品に身を包むことも可能です。商品自体から得られる効用よりも、それを身に着けてSNSで自慢し、承認欲求を満たすことの方に大きな価値を見出し、試着やレンタルに近い感覚で頻繁に行います。
企業はワンショット消費をどのように考えるべきか?
消費行動の多様化によりモノの流動性が高まっていることを理解しましょう。特に顧客が商品を選ぶ際に、あとで売れるかどうかを重視するようになったことは注目すべき点でしょう。
再販される価値がないものはそれだけで購入対象から外されてしまう可能性があります。商品設計は価値の永続性、ブランドの見分けやすさなど、再販時を考慮したものが好まれるでしょう。
マーケティングも同様です。 新品を購入しなければ得られない価値をいかに創出していくかがポイントです。新品離れの一方、ワンショット消費のような消費行動が発生しているため、新品を買う人の中には以前よりも購入単価が上がった人もいると考えられます。希少性や価値を重視した企業活動がますます重要になってきているといえます。
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