センシング技術とは何でしょうか。現代では家電や車など様々なモノがインターネットにつながり、私たちの生活や暮らしをより便利なものするIoT(Internet of Things)の活用が進んでいます。今回の記事でご紹介するセンシング技術は、このIoTに不可欠な技術のひとつです。企業のマーケティングでは顧客のオフラインのデータを収集できるテクノロジーとして注目を集めています。センシング技術とは何かをしっかり理解し、これらを活用した高品質なマーケティングを検討しましょう。
センシング技術とは
センサーを通じてさまざまな情報を計測・数値化する技術の総称です。センサーは計測対象の何らかの動きや状態(温度、湿度、明るさ、音量、重さ、圧力、振動など)を感知してデータを蓄積、出力します。それをAIなど他の仕組みと組み合わせることでさまざまなアクションが可能になります。
センシング技術の活用例
センシング技術の対象範囲は非常に広く、世の中にはあらゆるセンサーが存在します。災害や事故を未然に防ぎ社会インフラを支えるシステムや気温や日照量などに応じて自動で水やりを行う農業システム、身近なものでは心拍数や体温を計測して運動プログラムを提示してくれるスマートウォッチの機能などにセンシング技術が使われています。クラウド化やAIの一般化により、複数のセンサーが蓄積したデータをビックデータとして活用し、よりよい社会の実現を目指す動きも活発になっています。
マーケティングにおけるセンシング技術の重要性とは
現代のマーケティングでは顧客を理解し、個別に最適なアプローチを行うことが重要ですが、顧客の理解にはオンオフ問わず高品質なデータの取得と分析が欠かせません。社会のデジタル化によりリアル店舗でもデジタル技術の活用が進んでいますが、なんでもデジタルにすればよいという単純なものではありません。たとえばEメールで済むものがあえて郵送や手書きのDMで送られてくると印象に残りやすく、購買意欲が高まる顧客もいます。
マーケティングにおいて人間の五感は重要な要素です。どれほどデジタル化が進んだとしても、人間は感情や感覚などに大いに影響される生き物であり、顧客が無意識に知覚したものが意思決定に影響することが少なくないからです。顧客の感覚に影響を与え、態度変容を起こさせることをセンサリー・マーケティングといいますが、昨今のコモディティ化により商品そのものの機能や性能で差別化できなくなった現代で、今後ますます重要になっていくテーマとして注目されています。センシング技術を活用すれば顧客のリアルのデータを高精度かつ膨大に収集、蓄積することができます。これをオンラインデータとかけあわせて分析し、顧客の無意識までをも対象としたセンサリー・マーケティングを行えれば、自社の大きな優位性の実現につながるでしょう。