ステマ(ステルスマーケティング/steals marketing)とはどのようなものでしょうか。日頃ステマ、ステマと聞いて悪いことだと知っている人でも、実際の内容についてしっかりと話せる人は少ないのではないでしょうか。今回は、わかっているようでいて、言葉にするのが難しいステマについて取り上げます。
ステマとはステルスマーケティングの略
ステマとはステルスマーケティングの日本語的な略語です。
ステルスというとレーダーに探知されづらい戦闘機、ステルス戦闘機を想起する方もいると思います。実際にステルス stealsとは、英単語のsteal(盗む、こっそり取る)の複数形であり、こっそりと何かを行う場合に使われています。ステルスマーケティングとは、顧客にわからないようにこっそりとマーケティング活動をすることを言うのです。
どんなことがステマにあたるのか
ステマとして分類される、こっそりと行っているマーケティング活動とは、どんなマーケティング活動のことでしょうか。それは企業から金銭を受け取って宣伝活動をしているのにもかかわらず、中立の立場で口コミやレビューを行っているように装い、高評価や販売促進を行うことです。
これは顧客を騙す行為であり、俗に言うサクラ、ヤラセというのがこれにあたります。顧客が口コミを参考にする時代でこれを逆手に取ったマーケティング手法と言え、インターネットの信頼性や広告の信頼性を貶める行為です。
ここで重要なのは金銭授受があるのに広告であると明示していないことです。JIAA(日本インタラクティブ広告協会)のガイドラインを参考にするとわかりやすいでしょう。
ネイティブ広告に関するガイドラインの意義 (PDF)
⼀般社団法⼈ ⽇本インタラクティブ広告協会(JIAA)
ネイティブ広告についての誤解
ネイティブ広告は、 =ノンクレタイアップ(=ステマ)である
これは誤解であるとJIAAは述べています。
・正しくは タイアップは、あくまでも ネイティブ広告のバリエーションのひとつ
従来のガイドライン規定でも
・ネイティブ広告が広告である以上は、 広告であることの明⽰性(広告表記)が必要
・広告であるならば、メッセージの送り⼿ =広告主(広告主体者)を明⽰するべき
デザイン、内容、フォーマットが、編集記事やコンテンツの形式と同様の形で提供される広告、すなわりネイティブ広告が悪いわけではなく、ノンクレジットで広告とわからない形で顧客に情報を伝えることが問題なのです。このため「広告であることの明示」と「広告主体者の明示」が必要となっています。
2つのステルスマーケティングの手法
1は、上述した顧客を装って商品の高評価を行うイメージ向上を図る手法です。企業の社員が自社商品を公表する口コミを投稿することや、金銭を受け取った人物が一般消費者を装って商品を紹介することはステルスマーケティングとなります。
2つめは、芸能人、著名人、インフルエンサーといった影響力を持つ人物が、広告表記なしにSNSやメディア上で、商品を紹介し顧客に購入を促進することはステルスマーケティングです。
これら2つに共通するのは、無名か著名かどうかではなく、広告表記なく中立な口コミを装い、良い評価を他の顧客に届け販売を促進することにあります。顧客は広告宣伝であることをわからずに商品やサービスを購入してしまうのです。
過去には食べログや、ペニーオークションなどのステマ事例がありますが、こういった不正が発覚した場合には、商品・サービス、それを発信した発信者、依頼した企業の信頼が失われる結果となるばかりか、インターネット自体、またインターネット広告自体の信頼を揺るがすこととなります。顧客が安心してネットを利用できるよう、広告主、情報発信者にはステルスマーケティングをするのではなく、掲出する広告には広告表記と広告主の明示が求められています。