USP(ユーエスピー)という言葉をご存知でしょうか。USPは自社独自の強みを集約して顧客に伝わりやすくしたもので、数多くある製品やサービスから自社を選んでもらうために重要なマーケティング概念です。今回はUSPの概要や考え方について確認します。
USPとは
USPはUnique Selling Proposition(ユニークセリングプロポジション)の頭文字からなるマーケティング用語で「自社を選ぶべき理由」を明文化したものです。
注意すべき点は、USPが単なる製品機能やサービス内容の紹介ではなく、自社だけが提供できる価値の表明である点です。USPは企業が発信するメッセージやマーケティング活動の基盤となる、顧客との約束といえます。
なぜUSPが重要なのか
現代のマーケティングでは自社の独自性をスピーディかつ的確に伝えることが非常に重要です。顧客はプロダクトについて膨大な時間をかけて調べたり選んだりすることにストレスを感じているからです。USPは1960年代にアメリカで生まれた概念ですが、情報化・コモディティ化した現代でその重要性はより一層高まっているといえます。
USPを設定する際のポイント
まずは機能、品質、価格、専門性などを整理し、USPになりそうな特徴を掘り下げていきましょう。
USPはユニークなもの
他社が同等の品質を有している場合や、すぐ真似できるようなものはUSPになりません。まだどこもやっていない、追随できないというのが重要です。
USPをさまざまな視点で考える
特定の考えに固執しないようにしましょう。はじめからひとつに絞る必要はありません。かけあわせによって新たな価値を発見できることもあります。
ターゲットを絞り込んでUSPを明確化する
万人受けを狙うとぼやけてしまうため、自社のペルソナにささるかどうかを重視しましょう。特定の市場や顧客を絞り込んだほうがUSPを明確化できます。一部の顧客をファンにできれば、自然と影響力は広がっていきます。
商品の機能や品質の紹介だけではUSPにならない
製品やサービスにユニークかつ強力な魅力があることが大前提ですが、それによって顧客がどのような価値を得られるのかを明確に伝えるのがUSPの本質です。
かつてドミノピザは「30分以内にお届けします」というキャッチコピーを打ち出しました。まだ世のデリバリーが現在のように速くなかった当時、自社だけの速さを30分と明確にしたUSPは、到着時間に不満を持つ多くの顧客の心をつかみました。
USPは企業の存在意義やアイデンティティーでもあります。他社が真似できないような独自性を打ち出せると顧客に注目され、市場における存在感が際立ちます。将来にわたって自社だけが提供できるユニークで本質的な価値についてあらためて考えてみましょう。